クイーン・エマ・サマー・パレスは、カメハメハ4世(1834~1863)とエマ王妃(1836~1885)が夏のあいだに過ごしていた家。
現在、NPO団体の「Daughters of Hawaiʻi」によって管理、運営されており、当時使われてた家具や調度品、王家の装飾品などを見学することができます。
クイーン・エマ・サマー・パレスがあるのは、ワイキキエリアから少し離れたヌウアヌ地区。ダウンタウンと比べ標高がやや高く、木々のあいだを吹き抜ける涼しい風が吹くので、海側の照りつける日差しや都会の喧騒から逃れるには最適の場所です。
ワイキキエリアから行く場合、車で約20分、公共バスで50分ほどかかりますが、ハワイの文化や歴史にご興味があれば、ぜひおすすめしたいスポットです。
このページでは、クイーン・エマ・サマー・パレスの見どころや行き方のほか、エマ王妃の功績や人生についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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目次
クイーン・エマ・サマー・パレスの見どころ
クイーン・エマ・サマー・パレスは、1857年、エマ王妃が21歳のときに叔父から譲り受けた建物で、現在では歴史的建造物に指定されています。
この家は、エマ王妃とカメハメハ4世、そしてふたりの間に誕生したアルバート王子がオフタイムを過ごした “隠れ家”。部屋は全部で7つあり、各部屋に実際に使われていた家具やピアノ、王家ゆかりの装飾品など歴史的価値の高い文化財が保存されています。
エマ王妃とカメハメハ4世は英国のヴィクトリア女王(1819~1901)と親交が深く、王家から贈られたビクトリア朝時代の調度品もあります。
とくに目を引くのが、いちばん大きなお部屋にあるコアウッドでできた3階層のサイドボード。これはカメハメハ4世とエマ王妃の結婚祝いに贈られたもので、ベルリンで作られたといわれています。サイドボードには、エマ王妃がゲストをもてなす際に使用したティーセットが収納されています。
クイーン・エマ・サマー・パレスでは、お庭もまた見どころです。室内の見学後はパレスの周りの緑豊かなお庭を散策してみましょう。
植物の中には、ハワイ固有種や王妃らが植生したマンゴーの木があり、一帯がまるで植物園のように、静寂で清らかな空気に包まれています。木々のあいだを流れる風の音や鳥のさえずりに耳を傾けながら、穏やかなひと時を過ごしてみてくださいね。
いちばん大きいお部屋は、「エディンバラ・ルーム」と呼ばれているんだ。このお部屋は、1869年にヴィクトリア女王の次男エディンバラ公爵(1844~1900)がお見えになるということで、そのために増築されたんだよ。
エマ王妃の3つの功績と人生
エマ王妃は、多くの時間をハワイの人々のために費やしました。強い意思と実行力を持ち合わせた人物で、その才覚はとりわけ公衆衛生、教育面で発揮されました。その功績は現代でも残っており、ホノルル市内の学校や病院、教会にはエマ王妃の名前が設立者として刻まれています。
一方、私生活では、早くに夫と息子に先立たれ、深い悲しみと喪失感を抱えた人生でもありました。
以下に、エマ王妃の代表的な3つの功績と人生をご紹介します。
病院の設立
19世紀半ば、ハワイでは天然痘などの感染症が島外から持ち込まれ、多くの人々が命を落としました。エマ王妃はカメハメハ4世とともにクイーンズホスピタルを設立。方々に寄付をつのり、無償での医療提供に成功し、ハワイアンたちの健康を守る手助けをしました。
現在、クイーンズホスピタルはクイーンズメディカルセンター(Queen’s Medical Center)と名称が変わり、ハワイで最も大きな私立の非営利病院となっています。全米でも質の高い医療を提供する総合病院と評価されており、医療費を払えない患者さんの受け入れも積極的に行なっています。
女子教育
エマ王妃はハワイアンの教育にも力を注ぎました。とくに女子教育に力を入れ、男児と同じ教育が受けられるセント・アンドリュース・プライオリスクール(St. Andrew’s Priory School)を創設しました。
当時はジェンダーイコーリティーといった視点はほとんどありませんでしたが、エマ王妃は性別にとらわれない教育の重要性を説き、学校の設立に取り組んだといわれています。学校はダウンタウンにあり、現在も伝統ある名門校として知られています。
イギリス聖公会の誘致
キリスト教には多くの宗派がありますが、英国に本部のあるイギリス聖公会をハワイへ招いたのがカメハメハ4世とエマ王妃でした。ダウンタウンに建つ聖アンドリュー大聖堂(Cathedral of St. Andrew)は現在も観光スポットですが、この教会の設立のために、エマ王妃がイギリスへ足を運び資金調達に奔走したといわれています。
心は亡き家族とともに
エマは、幼なじみで2歳年上のリホリホ(カメハメハ4世)と20歳で結婚し、2年後にアルバート王子を出産します。しかし、数年後に息子と夫が相次いで病死してしまうという不幸に見舞われます。王子は4歳、王は29歳という若さでした。
一人残されたエマ王妃は、自らの名前を、愛する夫と息子の存在を表す「カレレオナラニ」(Kaleleonālani: The flight of the heavenly chiefs)とし、周囲にもその名で呼ぶように求めました。「家族はリホリホとアルバート以外にいない」という強い意思表明だったのかもしれません。
その後、エマ王妃はハワイのために働き続け、1874年、38歳のときには次期国王の候補者となりました。これまでの社会活動により支持者も多く、また、エマ自身も国王になるために綿密な計画を立てていたので、選挙では当選が確実と誰もが考えていたようです。しかし、最終的には議会の投票にて対抗馬のカラカウア(7代目王)が選ばれ、残念ながらエマが国王になることはありませんでした。
その後、エマは引退し、49歳でその生涯を終えるまで、静かな時間を過ごしました。現在、エマ王妃は、ハワイ王室の霊廟にてリホリホとアルバート王子の横で安らかに眠っています。
クイーン・エマ・サマー・パレスの見学
クイーン・エマ・サマー・パレスを見学する際の所要時間、予約、日本語ガイドについてご紹介します。
見学の所要時間
クイーン・エマ・サマー・パレスの室内は30分で見学することができます。ギフトショップでのショッピングやお庭の散策も楽しむ場合は、全部で1時間ほどみておくといいかもしれません。
事前予約がおすすめ
クイーン・エマ・サマー・パレスをご見学の際は、事前に公式サイトにて予約、お支払いが必要となります。ただ、予約なしでも混雑していなければ見学できるようです。
公式サイトにて予約する場合は、個々に見学する「セルフガイドツアー」、もしくはドーセント(解説員)に案内してもらう「ドーセントガイドツアー」(英語)のいずれかをお選びください。
キャンセル料金は、予約時間の24時間前までですと全額返金となります。
※ キャンセルポリシーは変更となる可能性もあるので、必ず最新情報を公式サイト等にてご確認をお願いします。
日本語ガイド
公式サイトには掲載されていませんが、日本語のドーセントツアーもあります。
2022年4月現在、日本語のガイドさんは火曜日と金曜日のみ対応可能とのことです。ご希望の方は事前にメールまたは電話にてお申し込みください。
連絡先は、「クイーン・エマ・サマー・パレスの基本情報」をご参照ください。
なお、セルフガイドツアーで申し込みした場合は、受付にてラミネート加工された日本語パンフレットを借りることができます。
クイーン・エマ・サマー・パレスの基本情報
クイーン・エマ・サマー・パレスの基本情報です。
名称 | クイーン・エマ・サマー・パレス(Queen Emma Summer Palace/ハワイ名:Hanaiakamalama) |
---|---|
開館日 | 火曜日、木曜日~土曜日 9:30~16:00 見学の予約枠は9:30から30分ごとにあります。最終枠は15:00です。 |
見学料 |
【セルフガイドツアー】 一般: $14 62歳以上: $10 5~12歳: $5 4歳以下: $1 【ドーセントガイドツアー】 一般: $20 62歳以上: $16 5~12歳: $12 4歳以下: $3 ※ 日本語でのドーセントガイドツアーは火曜日または金曜日に催行可能だそうです。ご希望の際は事前にメールかお電話にてお申し込みください。 |
休館日 | 日曜日、月曜日、水曜日、祝祭日 |
住所 | 2913 Pali Highway, Honolulu, HI 96817 |
電話番号 | 808-595-3167 |
tour@daughtersofhawaii.org | |
駐車場 | あり |
公式サイト | 「Daughters of Hawai‘i: Queen Emma Summer Palace」 公式Instagram |
ワイキキ中心地からクイーン・エマ・サマー・パレスまでの地図
ワイキキ中心地(DFSワイキキ)からクイーン・エマ・サマー・パレスまでの地図です。
クイーン・エマ・サマー・パレスへの行き方
ワイキキ中心地(DFSワイキキ)からクイーン・エマ・サマー・パレスへの行き方をご紹介します。
レンタカー
ワイキキ中心地(DFSワイキキ)からクイーン・エマ・サマー・パレスまでは約9km、20分ほどの道のりです。駐車場は敷地内にあります(無料)。
タクシー、Uber
ワイキキ中心地(DFSワイキキ)からタクシーやUber、Lyftを利用した場合の所要時間と乗車料金の目安です。
- タクシー
- 所要時間:約20分
乗車料金:$30前後(チップ15%、州税込み) - Uber、Lyft
- 所要時間:約20分
乗車料金:$15前後
※ 道路の混雑状況や時間帯によって変動します。
公共バス
TheBusでワイキキエリアからクイーン・エマ・サマー・パレスまで行くには、アラモアナセンターにて乗り換えが必要となります。
ワイキキエリアからアラモアナセンターまでは、「8」、「20」、「23」、「42」、「E」などで行くことができます。
アラモアナセンターからクイーン・エマ・サマー・パレスまでは、ルート「65」または「67」で行くことができます。「Pali Hwy + Queen Emma Summer Palace」で下車し、右手のゆるやか坂道を上がると到着です。
乗り換え時間などを含めると、所要時間は50分ほどになります。
クイーン・エマ・サマー・パレス周辺の観光スポット
クイーン・エマ・サマー・パレス周辺の代表的な観光スポットをご紹介します。
フォスター植物園
フォスター植物園はダウンタウンにある歴史ある植物園。ハワイ王室ともゆかりが深く、米国の国家歴史登録財に指定されています。入園料は$5です。クイーン・エマ・サマー・パレスから5~10分ほどで行くことができます。
「フォスター植物園」紹介ページヌウアヌ・パリ展望台
カメハメハ大王がハワイを統一するに至った決戦の場で、カネオヘやカイルアの景色を一望できるビュースポットです。
クイーン・エマ・サマー・パレスから5~10分ほどで行くことができます。
ホオマルヒア植物園
コオラウ山脈のふもとに広がる植物園。広大な敷地内には熱帯の植物が育てられており、池ではフィッシングなども楽しめます。入園料は無料です。クイーン・エマ・サマー・パレスからは、車でおよそ15~20分ほどです。
【関連・参考サイト】
公式サイト「City and County of Honolulu: Hoʻomaluhia Botanical Garden」
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